[勝手に中国語講座] 05-お年玉ちょうだい!
まもなく旧暦の正月、たしか2月1日です。中国大陸同様台湾もこの日が本当の正月。地方から都会に出てきている人たちの帰郷が一斉に始まります。台湾では 国外でバカンスという人も多く、この前後に航空券を入手するのはかなり厳しくなります。中国人・華僑の多い東アジア、東南アジア全体が大移動といえるかも しれません。
台湾で仕事をしていたとき、正月前の追い込みでへとへとになり、結局台北で旧正月を過ごしたことがありました。2月前後の 台北は気候が不順です。曇天が多く、空気は射すような湿気を含んでいます。気温も低く、過ごしやすくないのが本音。国外に出たがるのももっともかもしれま せん。それに町ががらーんとして、ひと気がありません。あの中国人特有の賑やかな町の風景が見られません。もう味も素っ気も無いというのが正月の台北で す。 大都会からひと気が失せれば、田舎はさぞ賑やかだろうと考えられますが、残念ながら私はそんな魅力ある正月を台湾では味わえませんでした。
正月を中国語では春節 [chun1 jie2] (ツン1 ジエ2)と 呼びます。元々は立春をいいましたが、今では正月をさします。ある年の正月、私はホテル住まい、ビジネスマンも従業員も故郷に帰り姿を消します。それでも 残された客がいれば面倒を見なければなりません。面倒を見るのは台北住まいの人たち、経営者とその一族。外国人ビジネスマンなど見あたりません。私も従業 員も時間を持て余します。地下室にあるスナックに、ママ・チーママ・ピアノの先生・ボーイが一人、それに私。本格的に町が動き出すまでの一週間、ボーイを 除いて私たち四人は、スナックをカジノに代えてしまいました。客はいないのも当然ですから、照明は薄暗く、一つのテーブルだけが明るくなっています。トラ ンプに花札、ピアノの先生は家からダイスを持ち込みチンチロリンまで始まる始末でした。
台湾でも賭博行為は禁止されています。勿論建前 なのですが、それでも青少年への悪影響を考慮して、一般家庭では親は口うるさく子供たちを教育します。しかしこの御法度は正月一週間解禁されたのだそうで す。一族郎党が集まり、麻雀をする傍らで子供たちはトランプに興じる、わずかですがお年玉の金銭も行き来します。ホテルの地下室に集まった者たちの行為 を、経営者もこの時だけは目をつむるのです。
台湾の正月の挨拶が「恭喜発財!」 [gong1 xi3 fa1 cai2] (ゴン1 シー3 ファー1 ツァイ2) 「今年は儲けましょう」。まあ台湾の商売人が交わす挨拶でしょうが、私が真似て使うと、「紅包掌来!」 [hong2 bao1 na1 lai2] (ホン2 バオ1 ナー1 ライ2) と返事が戻ってきます。「お年玉ください!」、お年玉は紅い封筒に入れて子供たちに手渡すのが風習。お年玉に限らず、祝儀袋も真っ赤です。赤い袋「紅包」をください、「お年玉をください」となります。台湾では、「恭喜発財!」「紅包掌来!」は慣用句になっています。早速、私もホテルにやってくる経営者の子供や従業員の子供たちに「紅包」を手渡しました。
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