[勝手に中国語講座] 02 -車間距離を保てば・・・
「車間距離を保ちましょう。そうすればアナタは安全です」。ほんの二年前まで、台湾の公共バスの後部にはこんな標語が書かれていました。田舎のそれも町を 外れた道路を除けば、混乱と雑踏の台湾市街地でこんな標語に意味のないことが分かったのか、昨年からは商品宣伝の看板に取って代わってしまいました。町は 四六時中渋滞していますから、一度バスの後ろについてしまえば、厭というほどこの標語を見せつけられることになります。で、記憶に残ることになりました。 ついでにお話しすれば、台北などでは似たような路線に数社のバス会社が乗り入れています。で、停留場の客を我がバスに乗せるため、先を争って走ります。速 い、荒い、そしてカーブでは振り回されます。客からは文句がでていないんでしょうか。そんな話は聞いたことがありません。
「保着距離」 [bao3zhe5ju4li2] バオ ザ ジュィ リー、には主語がありません。この標語を眺めるのは車に乗っている人ですから、主語は彼らになります。「着」は韻をふむのに使っているだけであまり意味はありません。四字四字で調子がいいですね。これは定型です。「您就安全」 [nin2jiu4an1quan2] ニン ジュォ アン チュエンの「就」は、そうすれば・・・なになに、そうすれば安全です、となります。[nin2]の漢字は日本語にないですね。「= あなた」[ni3]の丁寧語が[nin2]。「」など簡単な漢字もありません。
「そうすれば安全です」、これを「そうすれば[私]は安全です」と読み替えました。「保着距離[我 wo3]就安全」。いろいろな場面でありますね、特に外国では。「君子危うきに近寄らず」というのも中国から来た教訓でしょうが、身近な感じがしません。で、「保着距離[我 wo3]就安全」。私はよく、飲み屋でこれを使いました。
「保着距離 您就安全」[bao3zhe5ju4li2 nin2jiu4an1quan2] という標語は、台湾ではきっと子供のときから幾度となく聞かされてきたものでしょう、耳タコのはずです。成人して飲み屋に勤めるようになったお嬢さんが、 飲み屋で、それも外国人から聞かされたら、それは引いてしまうでしょう。彼女たちは、今夜の夜食やお小遣いを得ようと客に「クチチョコレート」してきま す。優しくお断りするのには、「保着距離[我]就安全」(あなた方と距離を保っていれば、私は安全です)と答えることにしました。大体は大笑いでその場を終えることができましたね。
教科書で学ぶことができない外国語の日常会話を覚えるには、興味を引いたらすぐに使ってみることです。ときにはTPOを踏み外すこともありますが、そこで 正しい使い方を学習することができるものです。TPO外しが、意外な効果を生みだすこともあります。是非、東アジアで楽しんでください。
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